リタイヤ=定年(60歳かそれ以降かはそれぞれ異なるかと思いますが)と
 なる時に事前に検討と対策を要する事項がいくつかあります。

 まず、年金対策です。年金は480か月(40年)払わなければ満額になりません。
 大学に在学中、特例免除を受けていた場合は、63歳頃まで払わなければ満額に
 なりません。それまでの期間支払うのか遡って納めるかどちらかになります。
 会社を退職希望される1年以上前に一度所轄の年金事務所に足を運んで確認を
 して下さい。

 次に、健康保険です。実際は転職が決まっていたとしても、1日でも勤めて
 いない日=健康保険に加入していない日があれば、切り替えを行い、
 国民健康保険に必ず加入しなければいけません。
 日本は「国民皆保険」のため、国内に住所があれば年齢や国籍に関係なく
 健康保険への加入が義務付けられています。
 会社を辞めてフリーランスになった場合、以前勤めていた会社の健康保険を任意
 継続するか、国民健康保険に直ちに切り替えるか、2つの選択肢があります。
 国民健康保険と任意継続保険、それぞれのメリットとデメリットがあります。
 国民健康保険は、加入者の病気やケガ、出産に際する医療費や死亡時の葬祭費用
 などが支給される制度です。健康保険の任意継続の手続きをした場合や配偶者など
 の被扶養者になる場合は、退職日の翌日付でその手続きを行えば、国民健康保険
 に加入する必要はなくなります。
 また、国民健康保険料の額は、前年度の所得をもとに計算されます。
 そのため退職後に国民健康保険料をいくら支払わなければならないのかは、
 前年度の源泉徴収票に記載されている所得金額を使用して概算金額を知る
 ことができます。
 国民健康保険料は、居住地の市区町村の健康保険課などで確認できる以外にも、
 市区町村のサイト上で国民健康保険料の概算金額を確認できます。 
 任意継続保険料は原則として2年間変更されることはありませんが、国民健康
 保険料は額申請できる場合があります。退職後ただちに国民健康保険を選択する
 ことによって、フリーランス2年目以降に国民健康保険料の減額申請を利用できる
 可能性を選択肢として持つことができます。
 一方で、国民健康保険は「出産手当金」が支給されないため、出産予定のある
 場合は、デメリットとなります。 

 任意継続保険では、社会保険の資格を失っても、喪失日の1日前までに継続して
 2か月以上の被保険者期間があり、喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格
 取得申出書」を提出することで、勤務していた会社が加入する健康保険組合を、
 退職後2年に限り継続することができます。
 いったん任意継続被保険者になると、2年間は、国民健康保険への加入、もしくは
 健康保険の扶養者になるために資格を失うことは認められません。
 また、保険料を1日でも滞納した場合は資格を失います。
 実際には、保険料を滞納することで国民健康保険に切り替えができるという
 ことになりますが。
 退職後の任意継続中もまったく同じ給付を受けることができるため、保養所などの
 各種施設を利用できる他、一定の条件を満たすことで出産手当金も支給されます。
 ただし、健康保険組合の所在地と退職後の居住地が遠方になる可能性があるため、
 書類の送付に時間がかかったり、頻繁に手続きする場合は不便に感じたりする
 ことがあるかもしれません。
 加えて、傷病手当金は支給されないため注意が必要です。

 相続税・贈与税・所得税は受け取る金額によって控除される額・税率が異なって
 参ります。
 年金は一括で受け取る一時金の場合と年金として受取る場合、または併用される
 場合、それぞれ異なって参ります。

 お持ちの金融資産と基本生活費と国民保険などのバランスをよく検討して、
 受取方法を検討して下さい。