70歳以降に、さかのぼって受給する場合は注意が必要です。
 70歳を超えてからさかのぼる場合は、その受給手続きをするときの5年前
 時点での繰り下げ受給という扱いになります。(2023年4月より)
 例えば、73歳0か月で8年繰り下げを待機していた場合、5年前の68歳0か月に
 繰り下げが開始したものとみなされます。
 この場合の増額率は、0.7%X36か月分の25.2%になります。
 25.2%増額された年金を一括で受け取り、73歳以降は25.2%増額された
 金額を受け取ることになります。

【老齢厚生年金】

 老齢厚生年金についても繰り下げ受給の注意点があります。
 老齢厚生年金の場合、65歳以降の在職期間中に給与が高い場合では、
 在職老齢年金制度により年金がカットされ、繰り下げの増額分が
 少なくなります。月額で老齢厚生年金(報酬比例部分)と給与・賞与
(直近1年分の12分の1の額)が、47万円を超えるたとき超えた分の
 2分の1の老齢厚生年金(報酬比例部分)がカット(支給停止)となります。
 仮に65歳から70歳まで5年間在職し、65歳受給開始(繰り下げ増額なし)
 で老齢厚生年金が100万円では、そのうち30万円がカットされる計算となり、
 70歳まで繰り下げたとしても、残りの70万円分にしか42%(0.7×60か月)
 の増額がされない計算になります。
 受給開始の額100万円に対して29万4千円(70万円×42%)の増額となり
 1カ月分(0.7%)までは増えないこととなります。
 老齢基礎年金は、在職老齢年金制度の対象外ですのでこのような
 調整はありません。